木更津初のご当地ヒーロー『鳳神ヤツルギ』・・・
2010年の夏の終わりに突如、そのプロジェクトは結成されました。
リーマンショックからいまだ立ち直れずに元気を取り戻せず、日本中に閉塞感が漂い、
連日のようにテレビからは暗いニュースばかりが流れていました。
昭和の一番日本が元気のよかった時代に育った私にとって、
今の子供たちが、かわいそうに思えて仕方ありませんでした。
何か自分たちに出来ることがないか、必死に考えた結果、
子供たちに「勇気」と「元気」を与えるヒーローを創ろうという考えに至りました。
ただ、私たちのような零細企業には全国区のヒーローは物理的にも資金的にも
到底無理なので、
当時徐々に増えつつあったご当地ヒーローをやることに決めました。
地域的には会社から一時間位で行けて、海などの自然に恵まれ、
昭和の雰囲気が残っている木更津を選びました。
ご当地ヒーローはその地域に住んでいる方々が始めるケースがほとんどだと思いますが、
私たちの場合は勝手に木更津という地を選んで地元の方に相談もせず、
勝手に始めました。地元の方に受け入れられるか、かなり不安はありましたが、
子供たちが喜んでくれれば大人たちも理解を示してくれるはず、という思いでスタートしました。
2010年の冬にテレビシリーズの撮影を行い、翌2011年の2月からは
龍宮城スパホテル三日月さんの協力で毎週土曜日にアクションショーを始めました。
私たちの本業は映像制作なので、ショーに関しては完全にシロウトでしたが、
機材を揃え見よう見まねで始めました。
そして、いよいよ放送まで一ヶ月を切った3月11日、
日本人にとって決して忘れることのできない東日本大震災が発生しました。
翌日に予定されていた三日月さんでのショーは当然中止になりました。
これから日本がどうなってしまうのだろうと国民の誰もが思っていた時だったので、
正直ヤツルギは、敵側の名前が「海底帝国ザブーン」ということもあり、
放送できずにお蔵入りしてしまうかもしれないと覚悟しました。
ショーに関しても今この時期に海沿いに建っている三日月さんに宿泊する
お客様もいないだろうし、当分の間再開できないことは容易に想像できました。
鳳神ヤツルギはこのまま日の目を見ることなく終わってしまうかもしれないと思うと、
くやしくてたまりませんでした。
悪夢のような週末が明けてほんの少しだけ落ち着きを取り戻した翌週の初めに、
三日月さんから電話があり「お客様がたとえ一人しかいなくてもホテルは
閉めないから出来ればショーは続けてほしい」と言われました。
その言葉を聞いて例えお客様が一人しか居なくても、その一人のために
精一杯ショーをお見せしようとスタッフたちと誓いました。
そして震災の翌週の土曜日にアクションショーを再開しました。
本当にわずかな宿泊客とすでにショーを何回か見てファンになって頂いた
数十人のお客様が来場してくださいました。
無事ショーが終わった後、一人の小さいお子さんを連れたお母さんが私のところに来て
「今日はありがとうございました。震災以降、恐怖におびえて
一切笑わなかったこの子でしたが、今日やっと笑うことが出来ました」
という言葉をかけて頂きました。
そのお母さんの言葉を聞いたときに「この活動は絶対やめてはならない。
私たちに出来ることは子供たちを笑顔にして勇気と元気を与えることだ」と心に誓いました。
ほどなくして、放送を予定していた千葉テレビからも連絡があり、
一部修正すれば放送OKという返事を頂きました。
そして、4月2日から鳳神ヤツルギのファーストシーズンの放送が千葉テレビで始まり、
震災直後に生まれたヒーローとしての本格的なスタートを切りました。
それから三年間、様々な活動を木更津中心に千葉県各地で行い
「千葉のヒーロー」としての認知度を高めて行きました。
そして2014年5月、ヤツルギの公式スポンサーのT・ジョイ蘇我さんの英断により、
念願の「劇場版 鳳神ヤツルギ」を公開することが出来ました。
私たちは今後も「子供たちに勇気と元気を与える」という
基本的なコンセプトを変えることなく、日々の活動を行っていきたいと思います。
弊社は、企画、プロデュース、デザイン、WEB、造形、大道具制作、撮影、販売、
イベント運営等を全て自社スタッフで行います。
なぜ、外注を使うことなく全てを自社スタッフで行うのか?それは外注だと作品に
「魂」を込めることが難しいからです。自社の作品に情熱を持っている
スタッフが創るから作品に「魂」が込めることが出来ると私は思っています。
実際に現場に足を運んで子どもたちの生の反応をダイレクトに感じ、
それを作品創りに生かしていくという方法に私たちはこだわっています。
これからも、子どもたちの笑顔を守るため、自分たちが出来る
小さな事をひとつひとつ、魂を込め積み重ねていこうと考えています。
まだまだ未熟な私たちですが、今後も精一杯努力していく所存ですので、
皆さまの応援、何卒よろしくお願い申し上げます。
(自分の言葉で正直に想いを伝えたいため、ライターに依頼せず、自分で書きました。
稚拙な文章になってしまいましたが、最後まで読んで頂き、ありがとうございました)
2014年夏